2007年2月20日火曜日

本物のチョコレート(1) うんちく編/嘘チョコの話し

 花子と親爺の会話も、少々鼻についてきたので、このあたりでやめときましょう。今日は、本物のチョコと嘘チョコについて、話しをしましょう。

 チョコレートに本物も嘘もあるかとお考えの諸兄も多いのではないでしょうか?じつは、このあたりが結構微妙なんですよ。

 たとえば、「カカオXX%」なんて、印刷されたパッケージのチョコレートを見ることはありませんか?最近、お菓子メーカー各社は、高級感を競って、こんな表現をよく使うようです。しかし、この「カカオXX%」とは、いったい何を意味しているのでしょうか?また、「XX%」が、高ければ高いほど、おいしくて高級なチョコレートなのでしょうか?我々凡人は、数字が高ければ高級でおいしいなんて、つい考えがちですが、実はちょっとちがうんですね。

 以前のプログでも紹介致しましたが、チョコレートは、まず、その原料であるカカオ豆を発酵させ、焙煎し、どろどろのペースト状にすりつぶします。これをカカオマスといいます。このカカオマスをさらに圧搾して、油脂分を取り出しますと、これがカカオバターになります。残った、固形分が、ココアパウダー(単にココアとも言う)になる訳です。 実は、このココアバーター、チョコレートだけではなく薬品や化粧品にも使われることから、ココアよりも希少価値が高く、高価なものなんですね。 そもそも、チョコレートとは、ココアパウダーとココアバーターを混ぜ合わせて作られています。そして、このココアバーターの比率が高いほど、上質でおいしいと言われています。しかし、安いチョコレートでは、コストがかかりすぎてココアバターを沢山使うわけにはゆきません。かといって、油脂分を減らしてしまいますと、うまく固まってくれませんし、口当たりが“ぼそぼそ”になり、食感が悪くなります。つまり、常温では固形だけれども、とろりと口の中に広がるというチョコレートならではの特性が失われてしまうわけです。これでは、商品になりません。そこで、ココアバターの代わりにココアバターと類似の化学構造を持つ植物性の代用油脂「ハードバター」が使用されています。つまりですね、チョコレートの成分表に「植物性油脂」と書いてある場合は、この代用油脂「ハードバター」が、含まれていることを意味しています。

 さて、「カカオXX%」に戻ってみようと思うのですが、ではいったいこの数字は何かと言うことですが、カカオ豆由来のココアパウダーと若干のココアバターでXX%あればいいわけですね。あとは、「ハードバター」でもいいと言うことになります。

 全国チョコレート業公正取引協議会の規定を見ると「チョコレート」に関する植物油脂の含有比率の規定はありません。ココアバターの含有比率が、18%以上あれば、チョコレートという表示を使っていいわけです。ちなみに、ココアバターが、3%以上~18%未満は、準チョコレートとして、区別しています。また、ココアバターや植物性油脂を含有しいることの表示義務はあっても、含有比率を表示する義務もありません。従って、いったいどれだけのココアバーターが含まれているのか、表示だけではわからないと言うことになります。
 チョコレートの国際規格(コーデックス規格)を決める国際会議で、ベルギー、オランダ、スイスなど、伝統的にチョコレートを大切にする国々では、植物油脂を入れたものはチョコレートと認められないと主張、一方日本などは、一定量の植物油脂も認めるべきとして対立、結局2003年に、植物油脂が、5%以下は、チョコレートと呼んでもいいことになりました。
 しかし、日本では、この規定が適用されておらず、植物油脂が5%以上であっても、チョコレートと表示することが認められています。全国チョコレート業公正取引協議会は、この規定を見直す意志がないとのことなので、日本の国際基準の無視は、当分は続きそうです。

 実際、ベルギーやスイスのチョコレートを食べると、そんなに高価なものでなくても、結構おいしく感じることがあります。これは、ココアバターの含有比率が高いからなんですね。また、おいしいだけじゃありません。植物性の代用油脂は、最近話題になっている「トランス脂肪酸」を含むものもあります。「トランス脂肪酸」とは、心疾患の原因となる悪玉コレステロールを増やす元凶と言われているもので、欧米では、その使用を禁止する動きが盛んです。しかし、日本は、相変わらず、国際基準は、無視を決め込んでいるようですね。

 では、本物のチョコレートをどのように見分けるか。その実践編は、次回に。

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