2007年2月13日火曜日

バレンタイン特集6 彼女が彼氏にチョコレートを贈る本当の理由(わけ)

 「なぜ、女性が男性にチョコレートを贈るのか」。バレンタイン特集5でご紹介しましたが、メリーチョコレートが、バレンタイン・イベントを東京・新宿のデパートで始めたことがきっかけといわれています。このイベントが開催された1958年ごろの日本は、戦後の古い女性観からの脱皮が叫ばれ始めたころ。アメリカのウーマン・リブ運動の影響もあり、女性誌が多数創刊されるなど、女性がとにかく元気な時代でした。「女性はもっと自分を主張すべし!」。その流れに乗じて、日本チョコレート・ココア協会が、2月14日を「チョコレートの日」と制定、流通業界あげての大チョコレート・キャンペーンを展開したことで、一気に普及したと言われています。ああ、奥ゆかしきは、大和撫子。おじさんたちのあこがれ、大和撫子は、バレンタインデーの普及とともに、歴史の彼方に消えてしまったのです。

 さて、そんな日本の歴史はともかくとして、もうすこし歴史をさかのぼってみましょう。チョコレートは、もともと古代メソ・アメリカの時代にさかのぼります。メソ・アメリカとは、メキシコ及び中央アメリカ北西部に当たる地域で、ちょうど北米と南米の大陸をつなぐ地峡のあたりです。この地域は、古代より様々な高度文明(マヤ、アステカなど)が、繁栄していました。紀元前数千年より、チョコレートの原料であるカカオが、この地域で栽培されていました。当時のカカオは、非常に貴重なもので、高貴な人たちしか口にすることができなかったと言われていします。カカオは、滋養強壮に富み、カカオを食べれば、他に食事はいらないとも言われていました。また、精力剤として、そして、性的興奮をもたらす媚薬として、「女性と夜を過ごすときの飲み物」とも言われていたのです。
 16世紀に入り、スペインがこの地域を征服し、カカオは、ヨーロッパへと伝わったのですが、同時に「恋の媚薬」としての物語も伝わったようです。まあ、こんな物語があった方が、それを手にするものにとってはありがたみが増すというもので、ヨーロッパ上流階級に広まってゆきました。今の科学では、媚薬と言うほどの薬効は裏付けられてはいませんが、カカオにふくまれる数々の成分が、滋養に富み、興奮作用があることは、明らかであり、まんざら嘘とも言い難いものがあります。「病は気から」じゃあありませんが、「信じるものは救われる」わけで、こんな迷信とともに、貴重で、ありがたきものとして、高値で取引されたようです。恋とチョコレートの関係は、こんな歴史にも関係があるのかもしれません。

 とするとですよ・・・彼女が彼氏にチョコレートを贈ると言うことは、「私を抱いて!」ということなのではないでしょうか。そうです、そうに違いありません。ウーマンリブ、万歳です。いやはや、ご期待の通りの結論に至りました。チョコレートをもらったあなたは、本当に幸せなかたですね!

 ちょっと待ってください。それだけじゃありません。実は、もっと深い意味があるんです。アステカの歴史書を紐解くと、カカオには、もうひとつの顔があります。それは、「血と心臓」です。当時カカオは、いまのような固形のチョコレートではなく、飲み物でした。そこに、アチョーテと言われる赤い色素を混ぜることもあったようです。これは、まさに血の象徴であり、生け贄の血を表していました。また、カカオは、死の国の主「ミクトランテクトリ」の象徴でもあったわけです。つまりですね、「私を抱いて!」の後には、「死を覚悟してね!=死ぬまで放さないわよ!」が待っているわけですねぇ。
 チョコレートをもらう彼氏!覚悟はよろしいですか?手作りのチョコレートなどもらおうものなら、それはもう呪怨の世界です。ほんとうに、おめでとうござます。

 ところで、義理チョコしかもらえないあなた!そう、私も含めたおじさん達!言う間でもありませんが、そんなみなさんには、縁もゆかりもない話しです。どうぞ気を楽にしてくださいね。みなさんは、ただただ、にやにやしながら、オジサン笑いでチョコレートを受け取ればいいんです。義理チョコは、何の後腐れもない、心から喜べるチョコレートなんですよ。本命をもらう彼らを哀れみつつ、メタボリックをまっしぐら。本当に幸せなことですよね。

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