「テオブロマ・カカオ(Teobroma Cacao)」。1753年、スウェーデンの植物学者、カルル・フォン・リンネによって命名されたカカオの学名です。「Teo=神の」「broma=食べ物」というギリシャ語に由来するこの名前は、当時、万能の薬効をもつ薬として、そして、上流階級の人々の高級な嗜好品として、ヨーロッパに広まっていたチョコレートから、思いついた名前かもしれません。チョコーレート発祥の地である古代のメキシコ近辺(古代メソアメリカ)でも、貴重な食べ物として、貴族や司祭しか口にすることができない食べ物だったようです。そして、彼らもまた、その優れた薬効、滋養をもたらす食べ物として珍重していました。決して、「おいしいあまりに食べ過ぎて、高脂血症->どろどろ血液->心筋梗塞->死んで神の元に召される」なんて意味はなかったと思います。それどころか、その全く反対の効き目があります。
さて、前回ばっさりと切り捨てたチョコレートの俗説に続き、今回は、チョコレートのすばらしい効能について、ご紹介しましょう。特にメタボリック世代のおじさん必見です。
チョコレートには、実に様々な薬効成分がふくまれています。カフェイン、テオブロミン、セロトニン、フェニルエチルアミン・・・などなど、わかっているだけでも数十種類あると言われ、カカオ豆の実に1-2%を占めています。また、それ以外にも、カルシウム、マグネシウム、亜鉛やその他ミネラル、ビタミンEなどたくさんの栄養素が豊富に含まれています。そのような成分の中で、最近特に注目されているのが、カカオ・ポリフェノールといわれる物質です。
ポリフェノールとは、植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。ブドウのあの赤い色や唐辛子の赤い色などの色素として、植物の葉や花、樹皮などに含まれています。ココアやチョコレートの褐色は、カカオ・ポリフェノールに由来するもので、赤ワインに含まれるポリフェノールのおよそ3倍もあるのだそうです。このポリフェノール、人間の体内にはいると、「抗酸化物」として働くことが、最近の研究で明らかになってきました。
「抗酸化物」とは、体内に作られる「活性酸素」という悪者を退治してくれるものです。「活性酸素」とは、一言で言えば、「老化促進物質」、つまり、しわを増やし、血管をもろくし、ガンを誘発するももので、おじさんにとっては、親の敵以上の極悪人なんです。
活性酸素は、体内に摂取、蓄積された悪玉のLDLコレステロールを酸化させ、高血圧、動脈硬化の原因となり、脳血管障害、心臓病などを誘発します。この活性酸素の働きを抑えてくれるのが、「抗酸化物=カカオ・ポリフェノール」なんですね。
「活性酸素」は、細胞のガンにする物質でもあります。カカオ・ポリフェノールは、この働きを抑え、ガン細胞の増加を防ぎ、免疫力を強化する力を持っています。また、ストレスによって増加するホルモンの分泌を抑えたり、精神的なストレスに対する抵抗力を強める働きもあります。 さらに、「活性酸素」は、アレルギー症状を引き起こします。この働きを抑えるとともに、抗体や炎症を起こす物質を作らないようにする働きもあります。つまり、チョコレートは、花粉症対策にも使えるんですね。
そして、最近特に注目されているのが、カカオ・ポリフェノールの抗菌作用です。あのノロウイルスやO-157の増殖を抑えるだけではなく、胃潰瘍の原因であるピロリ菌、虫歯菌の増殖を抑えることが確認されています。また、血糖値を下げる働きもあり、糖尿病を予防する効果も報告されています。
どうです、メタボリック世代のみなさん。すごいと思いませんか?こんなに身体にいいものをガキのおやつにしておくなんて、もったいない!そうです。「大人のおやつ」なんですよ。でも、大人には、おとなの食べ方って言うものがあるんです。ガキにはまねのできない大人のチョコレート・・・今後そのあたりを追求してゆこうかな。
2007年2月17日土曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 件のコメント:
コメントを投稿