2007年2月19日月曜日

バーで使えるチョコレートの”うんちく”実践編(2)[お酒とチョコレートの相性]

 前回は、健康が話題。今回は、お酒との相性について、うんちくを語ります。

親爺:「チョコレートと相性のいいお酒は、なんだと思う。」
花子:「そうねぇ、赤ワインなんか、合うんじゃないかしら。」
親爺:「確かに、しっかりとしたフルボディの赤ワインもいいかもしれないね。でも、あのワインの繊細な味わいに、ちょっとチョコレートは、主張しすぎるかもしれないね。それよりも、チョコレートといえば、ウイスキー。それも、シングルモルトがぴったりだと思うよ。」
花子:「でも、なんだかきつそうで、抵抗あるわ」。
親爺:「だったら、これをすこし口に含んでごらん。」といって、マッカランの12年を1割程度の水で割って差し出す。
花子:「なんだか、とってもいい香り・・・」
親爺:「マジソン郡の橋という映画で、メリル・ストリープ扮する農場主の妻フランチェスカとクリント・イーストウッド扮するカメラマン、ロバート・キンケイドが、旅の途中、二人だけで飲んだ、あのお酒だよ。」
花子:うっとり・・・
親爺:「チョコレートの濃厚で複雑な味わいは、シングルモルトぐらい、しっかりと芳醇で複雑な味わいがなければ、引き立てあえないように思うんだ。クリント・イーストウッドとメリル・ストリープ。ふたりとも、個性豊かで、濃厚な演技派だからこそ、引き立て合えたと同じようにね。」
親爺:グラスを一口飲む
親爺:「シングルモルトの醍醐味は、その味の複雑さにあるんだ。地域やブランド、あるいは、ボトルごとに様々な表情を持っている。シングル・カスクといわれる特定の樽のものをそのまま瓶詰めしたものなどは、特に個性的なんだよ。普通シングルモルトと言われるものは、おなじ醸造所のモルトだけを使っているという意味。おなじ年代の樽をブレンドし味を調え、加水してアルコール度数を整えて出荷されるんだ。たしかに、醸造所ごと、年代ごとの個性は楽しめるけど、工業製品として、品質や味を均一化されてしまう。それに対して、シングル・カスクは、そのような加工を一切行わず、まさに樽出しのストレート。おなじ醸造所で、年代がおなじでも、樽の寝かされていた場所が海よりか山よりか、樽の位置が上か下か、などでも味や香りが、微妙に違ってくるんだ。それほど、繊細なものなんだ。」
花子:「すごいのね?」
親爺:「それだけじゃないんだ。シングルモルトは、バーボン樽やシェリー樽など、他のお酒を熟成させた樽木を再加工し樽を作り、これにつめて熟成させるんだ。原則として、新樽は使わない。これは、味を複雑にするためなんだね。さらに、フイニッシュといって、仕上げにラム、オロロッソ、フィノなど、比較的香りがはっきりしたお酒を醸造した樽にモルト・ウイスキーを詰め替え、再度寝かせるものまであるんだ。これではもう何がシングルかわからないけど、これでもかと言うくらい、複雑な味わいを作り出そうと苦心しているんだよ。」
花子:「そんなにたいへんなの?」
親爺:「そんな手間暇かけて、濃厚で、芳醇で、複雑な味わいを作る。だから、味のしっかりした食べ物でなければ、なかなか、お互いを引き立て合うことができないんだよ。」
花子:「チョコレートは、それにぴったりという訳ね。」
親爺:「そう、その通り。そして、チョコレートの甘みも、シングルモルトの味わいをさらに引き立ててくれるんだ。もうひとつ、柑橘系もあうんだよ。オレンジやレモンのピールが入ったビターチョコレートなんか、ぴったしだよ。ほら、どう?」といって、オレンジ・ピールが入ったビターチョコレートを進める。
花子:「ほんと!おいしいわ!」

こうして、夜は更けてゆくのでした・・・

0 件のコメント: