2007年2月21日水曜日

本物のチョコレート(2) うんちく編/日本の常識は世界の非常識

 「日本の常識は、世界の非常識」と言っていたのは、政治評論家の竹村健一さんだったでしょうか?まさに、チョコレートの世界にもこの図式が当てはまります。

 前回ご紹介したチョコレートの定義について、もうすこし詳しく見てゆきましょう。日本で「チョコレート」と表示していいものは、
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・日本のチョコレート:
 総カカオ35%以上 カカオバター18%以上 非脂肪固形分17%以上
 代用油脂 可
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 たとえば、カカオ分70%のチョコレートの場合、 ココアバター18%+ココア分(ココアバター以外のカカオ成分)52%=70% 当然、油脂分が不足しますから、これを代用油脂「ハードバター」で補います。これでも、チョコレートと称してもいいとなります。

 ところで、国際基準では、チョコレートといっても、3つのランクがあります。
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・クーベルチュール・チョコレート:
 総カカオ35%以上 カカオバター31%以上 非脂肪固形分2.5%以上 
 代用油脂 不可
・純チョコレート: 
 総カカオ35%以上 カカオバター18%以上 非脂肪固形分17%以上 
 代用油脂 不可
・チョコレート: 
 総カカオ35%以上 カカオバター18%以上 非脂肪固形分17%以上 
 代用油脂 可
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 クーベルチュールとは、フランス語で「覆い」という意味です。お菓子の原料として使用されているもので、上記のように最高の品質を求められます。チョコレート職人「ショコラティエ」たちは、それぞれ特徴のあるクーベルチュールを組み合わせて、自分たちの味を作り出しています。

 日本では、この国際基準の最低のランクを満たしていれば、すべて一律チョコレートと称していいことになります。ですから、クーベルチュールなどという名称は、日本では自由につけられるわけですから、結果として、国際的な品質には至らないものもあるようです。

 本物のチョコレートとは、「カカオバーターだけを使っている=口溶けもなめらかで香りが高い」。工業先進国、コスト重視の日本では、この定義に当てはまる本物のチョコレートは、意外と少ないと考えなくてはなりません。事実、農林水産省消費技術センターのレポートでも、この事実を裏付ける調査報告が、掲載されています。

 ただし、お菓子をコーティングするための材料としては、このような本物のチョコレートは、低温で溶け出してしまうため不向きです。このような目的であれば、むしろカカオバターが少なく代用油脂が多い準チョコレートが向いています。準チョコレートは、使う目的に応じて、伸びの良さや溶ける温度などを異なる代用油脂の組み合わせで調整することができます。味や香りといった品質よりも物理的な特性を重視する場合は、こちらが使われます。

 ヨーロッパ土産のチョコレートが、ありがたく思うのは、「なんだか高級感があるから」ということだけではなく、ちゃんと「おいしさが保証されている」からなんですね。
 

2007年2月20日火曜日

本物のチョコレート(1) うんちく編/嘘チョコの話し

 花子と親爺の会話も、少々鼻についてきたので、このあたりでやめときましょう。今日は、本物のチョコと嘘チョコについて、話しをしましょう。

 チョコレートに本物も嘘もあるかとお考えの諸兄も多いのではないでしょうか?じつは、このあたりが結構微妙なんですよ。

 たとえば、「カカオXX%」なんて、印刷されたパッケージのチョコレートを見ることはありませんか?最近、お菓子メーカー各社は、高級感を競って、こんな表現をよく使うようです。しかし、この「カカオXX%」とは、いったい何を意味しているのでしょうか?また、「XX%」が、高ければ高いほど、おいしくて高級なチョコレートなのでしょうか?我々凡人は、数字が高ければ高級でおいしいなんて、つい考えがちですが、実はちょっとちがうんですね。

 以前のプログでも紹介致しましたが、チョコレートは、まず、その原料であるカカオ豆を発酵させ、焙煎し、どろどろのペースト状にすりつぶします。これをカカオマスといいます。このカカオマスをさらに圧搾して、油脂分を取り出しますと、これがカカオバターになります。残った、固形分が、ココアパウダー(単にココアとも言う)になる訳です。 実は、このココアバーター、チョコレートだけではなく薬品や化粧品にも使われることから、ココアよりも希少価値が高く、高価なものなんですね。 そもそも、チョコレートとは、ココアパウダーとココアバーターを混ぜ合わせて作られています。そして、このココアバーターの比率が高いほど、上質でおいしいと言われています。しかし、安いチョコレートでは、コストがかかりすぎてココアバターを沢山使うわけにはゆきません。かといって、油脂分を減らしてしまいますと、うまく固まってくれませんし、口当たりが“ぼそぼそ”になり、食感が悪くなります。つまり、常温では固形だけれども、とろりと口の中に広がるというチョコレートならではの特性が失われてしまうわけです。これでは、商品になりません。そこで、ココアバターの代わりにココアバターと類似の化学構造を持つ植物性の代用油脂「ハードバター」が使用されています。つまりですね、チョコレートの成分表に「植物性油脂」と書いてある場合は、この代用油脂「ハードバター」が、含まれていることを意味しています。

 さて、「カカオXX%」に戻ってみようと思うのですが、ではいったいこの数字は何かと言うことですが、カカオ豆由来のココアパウダーと若干のココアバターでXX%あればいいわけですね。あとは、「ハードバター」でもいいと言うことになります。

 全国チョコレート業公正取引協議会の規定を見ると「チョコレート」に関する植物油脂の含有比率の規定はありません。ココアバターの含有比率が、18%以上あれば、チョコレートという表示を使っていいわけです。ちなみに、ココアバターが、3%以上~18%未満は、準チョコレートとして、区別しています。また、ココアバターや植物性油脂を含有しいることの表示義務はあっても、含有比率を表示する義務もありません。従って、いったいどれだけのココアバーターが含まれているのか、表示だけではわからないと言うことになります。
 チョコレートの国際規格(コーデックス規格)を決める国際会議で、ベルギー、オランダ、スイスなど、伝統的にチョコレートを大切にする国々では、植物油脂を入れたものはチョコレートと認められないと主張、一方日本などは、一定量の植物油脂も認めるべきとして対立、結局2003年に、植物油脂が、5%以下は、チョコレートと呼んでもいいことになりました。
 しかし、日本では、この規定が適用されておらず、植物油脂が5%以上であっても、チョコレートと表示することが認められています。全国チョコレート業公正取引協議会は、この規定を見直す意志がないとのことなので、日本の国際基準の無視は、当分は続きそうです。

 実際、ベルギーやスイスのチョコレートを食べると、そんなに高価なものでなくても、結構おいしく感じることがあります。これは、ココアバターの含有比率が高いからなんですね。また、おいしいだけじゃありません。植物性の代用油脂は、最近話題になっている「トランス脂肪酸」を含むものもあります。「トランス脂肪酸」とは、心疾患の原因となる悪玉コレステロールを増やす元凶と言われているもので、欧米では、その使用を禁止する動きが盛んです。しかし、日本は、相変わらず、国際基準は、無視を決め込んでいるようですね。

 では、本物のチョコレートをどのように見分けるか。その実践編は、次回に。

2007年2月19日月曜日

バーで使えるチョコレートの”うんちく”実践編(2)[お酒とチョコレートの相性]

 前回は、健康が話題。今回は、お酒との相性について、うんちくを語ります。

親爺:「チョコレートと相性のいいお酒は、なんだと思う。」
花子:「そうねぇ、赤ワインなんか、合うんじゃないかしら。」
親爺:「確かに、しっかりとしたフルボディの赤ワインもいいかもしれないね。でも、あのワインの繊細な味わいに、ちょっとチョコレートは、主張しすぎるかもしれないね。それよりも、チョコレートといえば、ウイスキー。それも、シングルモルトがぴったりだと思うよ。」
花子:「でも、なんだかきつそうで、抵抗あるわ」。
親爺:「だったら、これをすこし口に含んでごらん。」といって、マッカランの12年を1割程度の水で割って差し出す。
花子:「なんだか、とってもいい香り・・・」
親爺:「マジソン郡の橋という映画で、メリル・ストリープ扮する農場主の妻フランチェスカとクリント・イーストウッド扮するカメラマン、ロバート・キンケイドが、旅の途中、二人だけで飲んだ、あのお酒だよ。」
花子:うっとり・・・
親爺:「チョコレートの濃厚で複雑な味わいは、シングルモルトぐらい、しっかりと芳醇で複雑な味わいがなければ、引き立てあえないように思うんだ。クリント・イーストウッドとメリル・ストリープ。ふたりとも、個性豊かで、濃厚な演技派だからこそ、引き立て合えたと同じようにね。」
親爺:グラスを一口飲む
親爺:「シングルモルトの醍醐味は、その味の複雑さにあるんだ。地域やブランド、あるいは、ボトルごとに様々な表情を持っている。シングル・カスクといわれる特定の樽のものをそのまま瓶詰めしたものなどは、特に個性的なんだよ。普通シングルモルトと言われるものは、おなじ醸造所のモルトだけを使っているという意味。おなじ年代の樽をブレンドし味を調え、加水してアルコール度数を整えて出荷されるんだ。たしかに、醸造所ごと、年代ごとの個性は楽しめるけど、工業製品として、品質や味を均一化されてしまう。それに対して、シングル・カスクは、そのような加工を一切行わず、まさに樽出しのストレート。おなじ醸造所で、年代がおなじでも、樽の寝かされていた場所が海よりか山よりか、樽の位置が上か下か、などでも味や香りが、微妙に違ってくるんだ。それほど、繊細なものなんだ。」
花子:「すごいのね?」
親爺:「それだけじゃないんだ。シングルモルトは、バーボン樽やシェリー樽など、他のお酒を熟成させた樽木を再加工し樽を作り、これにつめて熟成させるんだ。原則として、新樽は使わない。これは、味を複雑にするためなんだね。さらに、フイニッシュといって、仕上げにラム、オロロッソ、フィノなど、比較的香りがはっきりしたお酒を醸造した樽にモルト・ウイスキーを詰め替え、再度寝かせるものまであるんだ。これではもう何がシングルかわからないけど、これでもかと言うくらい、複雑な味わいを作り出そうと苦心しているんだよ。」
花子:「そんなにたいへんなの?」
親爺:「そんな手間暇かけて、濃厚で、芳醇で、複雑な味わいを作る。だから、味のしっかりした食べ物でなければ、なかなか、お互いを引き立て合うことができないんだよ。」
花子:「チョコレートは、それにぴったりという訳ね。」
親爺:「そう、その通り。そして、チョコレートの甘みも、シングルモルトの味わいをさらに引き立ててくれるんだ。もうひとつ、柑橘系もあうんだよ。オレンジやレモンのピールが入ったビターチョコレートなんか、ぴったしだよ。ほら、どう?」といって、オレンジ・ピールが入ったビターチョコレートを進める。
花子:「ほんと!おいしいわ!」

こうして、夜は更けてゆくのでした・・・

2007年2月18日日曜日

バーで使えるチョコレートの”うんちく”実践編(1)[チョコレートと健康]

 あなたは、運よく、若い女性をバーに誘うことができました。しかし、そこで、仕事の話や家族の話をしてるようじゃ、興醒めですね。そんな、お父さんのために、チョコレートのうんちくなどいかがでしょうか?

 今回は、「若い女性を相手に、バーで使える、チョコレートの”うんちく”実践編」の第1回目として、おじさん臭くならない、健康話をご紹介します。

親爺:「花子ちゃん(仮名)、君は、チョコレートすき?」
花子:「ええ、とっても。つい食べ過ぎちゃうわ。」
親爺:「チョコレートに限らず、食べ過ぎは、禁物だけど、チョコレートは、とても健康にいいんだよ。」
花子:「そうなの?」
親爺:「ほら、今日食事の時に飲んだ2002年のシャトー・ムートン・ロートシルト。覚えてる?」
花子:「ええ、とっても濃厚な赤ワインだったわ。あの牛頬肉のワイン煮込みには、ほんとうにぴったりだっわ。」
親爺:「そうなんだよ。この年のカベルネ・ペースのメドックとしては、最も濃厚な色合いをしているといわれてるんだ。あの幅のある風味、隠そうとしても隠しきれないクレーム・ド・カシスに、燻煙やココア、なめし草、甘草が混ざり合ったものを思わせる味わい。タンニンが、とてもしっかりしていて、濃厚で、力強く、豊かなあじわいだったよね(ロバート・パーカー/Robert M. Parker, Jr /世界で最も影響力のあるワイン評論家のことばより引用)。ところで、あの濃厚でルビーのような赤。なんだとおもう?」
花子:「わかんなぁ~い!」
親爺:「あれはね、ワインにふくまれているポリフェノールという色素の色なんだよ。」
花子:「ポリフェノール?なんかきいたことあるけど、よくわかんなぁ~い・・・」
親爺:「まあ、一言で言えば、若さを保つ魔法の物質、血液さらさらにして、お肌もすべすべにしてくれるんだよ。」
花子:「へ~、すごいのね。」
親爺:「そうなんだ。実はね、そのホリフェノールが、ワインの3倍もふくまれているのが、チョコレートなんだよ。」
花子:「そうなんだ、知らなかった!チョコレートってすごいのね。」
親爺:「そうなんだよ。それに、花子ちゃん、花粉症と言っていただろ。チョコレートのポリフェノールは、花粉症にも効果があるんだよ。」
花子:尊敬のまなざしで「ふぅ~ん・・・」
親爺:「それにね、もうひとつ、チョコレートには、とても多くの食物繊維が含まれているんだ。板チョコ一枚(カカオ70%、およそ100g)に約24gふくまれているんだ。同じ量のゴボウだって、たった5.7gしか入っていないんだからね。」
花子:「じゃあ、おなかにもいいんだね?」
親爺:「そう、おなかをきれいにしてくれる。だから、お肌を内側からきれいにし、ダイエットにも効果があるんだよ。まあ、花子ちゃんだったら、その必要もないだろうけど・・・」
花子:「そんなことないわ。でも、○○さんって、よく知っているねぇ。」
親爺:「ごめんごめん、ちょっと、僕一人で話しすぎたようだね。こんどは、花子ちゃんのこと、もうすこし聞かせてくれる?」

次回に続く・・・

2007年2月17日土曜日

メタボリック世代に捧げる、チョコレートの効能(2)

 「テオブロマ・カカオ(Teobroma Cacao)」。1753年、スウェーデンの植物学者、カルル・フォン・リンネによって命名されたカカオの学名です。「Teo=神の」「broma=食べ物」というギリシャ語に由来するこの名前は、当時、万能の薬効をもつ薬として、そして、上流階級の人々の高級な嗜好品として、ヨーロッパに広まっていたチョコレートから、思いついた名前かもしれません。チョコーレート発祥の地である古代のメキシコ近辺(古代メソアメリカ)でも、貴重な食べ物として、貴族や司祭しか口にすることができない食べ物だったようです。そして、彼らもまた、その優れた薬効、滋養をもたらす食べ物として珍重していました。決して、「おいしいあまりに食べ過ぎて、高脂血症->どろどろ血液->心筋梗塞->死んで神の元に召される」なんて意味はなかったと思います。それどころか、その全く反対の効き目があります。

 さて、前回ばっさりと切り捨てたチョコレートの俗説に続き、今回は、チョコレートのすばらしい効能について、ご紹介しましょう。特にメタボリック世代のおじさん必見です。

 チョコレートには、実に様々な薬効成分がふくまれています。カフェイン、テオブロミン、セロトニン、フェニルエチルアミン・・・などなど、わかっているだけでも数十種類あると言われ、カカオ豆の実に1-2%を占めています。また、それ以外にも、カルシウム、マグネシウム、亜鉛やその他ミネラル、ビタミンEなどたくさんの栄養素が豊富に含まれています。そのような成分の中で、最近特に注目されているのが、カカオ・ポリフェノールといわれる物質です。

 ポリフェノールとは、植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。ブドウのあの赤い色や唐辛子の赤い色などの色素として、植物の葉や花、樹皮などに含まれています。ココアやチョコレートの褐色は、カカオ・ポリフェノールに由来するもので、赤ワインに含まれるポリフェノールのおよそ3倍もあるのだそうです。このポリフェノール、人間の体内にはいると、「抗酸化物」として働くことが、最近の研究で明らかになってきました。 

 「抗酸化物」とは、体内に作られる「活性酸素」という悪者を退治してくれるものです。「活性酸素」とは、一言で言えば、「老化促進物質」、つまり、しわを増やし、血管をもろくし、ガンを誘発するももので、おじさんにとっては、親の敵以上の極悪人なんです。

 活性酸素は、体内に摂取、蓄積された悪玉のLDLコレステロールを酸化させ、高血圧、動脈硬化の原因となり、脳血管障害、心臓病などを誘発します。この活性酸素の働きを抑えてくれるのが、「抗酸化物=カカオ・ポリフェノール」なんですね。
 「活性酸素」は、細胞のガンにする物質でもあります。カカオ・ポリフェノールは、この働きを抑え、ガン細胞の増加を防ぎ、免疫力を強化する力を持っています。また、ストレスによって増加するホルモンの分泌を抑えたり、精神的なストレスに対する抵抗力を強める働きもあります。 さらに、「活性酸素」は、アレルギー症状を引き起こします。この働きを抑えるとともに、抗体や炎症を起こす物質を作らないようにする働きもあります。つまり、チョコレートは、花粉症対策にも使えるんですね。
 そして、最近特に注目されているのが、カカオ・ポリフェノールの抗菌作用です。あのノロウイルスやO-157の増殖を抑えるだけではなく、胃潰瘍の原因であるピロリ菌、虫歯菌の増殖を抑えることが確認されています。また、血糖値を下げる働きもあり、糖尿病を予防する効果も報告されています。

 どうです、メタボリック世代のみなさん。すごいと思いませんか?こんなに身体にいいものをガキのおやつにしておくなんて、もったいない!そうです。「大人のおやつ」なんですよ。でも、大人には、おとなの食べ方って言うものがあるんです。ガキにはまねのできない大人のチョコレート・・・今後そのあたりを追求してゆこうかな。

2007年2月16日金曜日

メタボリック世代に捧げる、チョコレートの効能(1)

 義理でも何でもチョコレートをもらったお父さん。食べたいが、メタボリックが気になって、どうも・・・というあなた。私が、そのご心配をすっきり、さっぱり、解消して差し上げましょう。

 ところで、「チョコレートを食べ過ぎると鼻血がでるよ。」「ニキビや吹き出物がでるから気をつけなさい。」 子供のころ、母親によく言われたものです。しかし、これは医学的には根拠のないことで、子供が大好きなチョコレートを食べ過ぎないように、このような話しが広まったと言われています。
 さて、チョコレートを食べて、もっとも心配になるのが、「太る」ことです。しかし、これも、どうも根拠がないようです。確かに、チョコレートには、ココア・バターという脂肪分が、多量に含まれています。ただ、ココアバターは、体内に吸収されにいという特性を持っています。つまり、カロリーになりにくい脂肪です。ある実験では、標準飼料を与えたラットと飼料の20%をチョコレートでおきかえ与えたラットを比較した場合、同じカロリーでは、体重の差はなく、肥満もみられなかったそうです。
 もうひとつ、チョコレートについての偏見を解いておきましょう。それは、「チョコレート虫歯原因説」です。実は、カカオには、虫歯菌をおさえる効果があります。しかも虫歯菌に感染したラットの虫歯の進行をおさえるという実験結果も報告されています。問題は、チョコレートそのものというよりも、そこにふくまれる砂糖であって、これは、チョコレートに限らず、いろいろなものにふくまれています。チョコレート=虫歯の原因という俗説は、事実ではありません。

 どうです?チョコレートに対する偏見は、払拭されましたか?まあ、チョコレートに限った話しではありませんが、何でも食べ過ぎれば、いいことはありません。食べ過ぎれば、カロリーも高くなりますから、太るのは当たり前です。また、チョコレートを食べて、歯磨きをしなければ、歯垢も溜まり、虫歯にもなります。それを「チョコレート」の責任にするのは、チョコレートに失礼です。 ただ、注意しておきたいこともあります。それは、チョコレートそのものというより、チョコレートにふくまれる砂糖やココアバター以外の油脂や添加物です。こちらについては、いずれきちんと片を付けようと思います。

 さて、チョコレートが、害がないことは、わかってきたのですが、それでは、もっと積極的な効能はないのかというご質問もあるのではないでしょうか?実はそれが大ありなんですよ。

 「動脈硬化を抑制する」「がんの発生を抑止する」「糖尿病を抑止する」「老化遅らせる」「胃かいようや胃がんとの関連が深いピロリ菌や病原性大腸菌O-157の増殖を抑える」「アレルギーの抑制」「リウマチの抑制」・・・・

 どうですか?メタボリック世代のみなさん。これで、チョコレートを食べないなんて、どうかしてます。この詳細は、次回、説明させていだきます。

2007年2月15日木曜日

バレンタイン特集8 チョコレート、もらっちゃいました・・・でも・・・

 チョコレートをもらいましたか?もちろん私は、もらいました。チョコレートの皮肉や悪口ばかり書いているので、どうせ、そんなものに縁のないやつなんだろうと、お思いの方も多かったんじゃないでしょうかねぇ。いえいえ、決してそんなことはありません。我が最愛のパートナーからちゃんともらいました。どうです、立派なもんでしょ。

 ただ、正直なところ、これが、素直に喜べないんですよ。もちろん、人間関係を大切にする私です。満面の笑みとともに「本当にありがとう!」と伝えました・・・が・・・ですね・・・彼女が、プレゼントした相手は私だけじゃないんです。彼女は、小さな会社を経営しているのですが、その部下に・・・また、マラソンの個人レッスンを受けているのですが、そのコーチに・・・ということは、私は、1/3ということになります。おなじものを贈ったかどうかは、怖くて確認できません。ただ、彼女の性格を考えると、まあ、きっと、おなじものだと思います。
 しかもですよ・・・「ありがとう、おいしいよ!」と感謝の言葉を述べながら、そのチョコレートを頂いておりますと、「そらおいしいわよ!でも、私も食べてないの!自分一人で食べちゃわないでね」・・・。ということはですよ、つまり、他の人に差し上げたものを自分もおなじものを食べてみたいので買ってきた、と言うことではないですか。そうすると、私に「どうぞ」というのは、儀礼的行為にすぎず、結局は、みんなで食べましょうね、ということですか???・・・そんな疑念が、ふつふつとわき起こってきます。いいえ、それは、もう確信です。もちろん、気の弱い私ですから、そんなことを彼女に聞くことなどとてもできません。「ほんとうにおいしいよ!」と顔で笑って心で泣きながら、ガナッシュの入ったチョコレートのほろ苦さをかみしめていました。

 しかし、いいんです。もらえたんですから。義理であっても。もらえただけでありがたいじゃないですか。そうです、義理って、いい言葉ですよ。義理人情、義に厚く理(ことわり)を説く・・・日本人です。男の世界です。そう考えると、義理チョコだって、ありがたく思えてくるじゃありませんか。

 だったら、もっとちゃんと「義理」の意味を調べてみようと思い、三省堂の辞書・大辞林を引いてみました。すると、こんなことがかかれていました。

(1)物事の正しい道筋。人間のふみおこなうべき正しい道。道理。
(2)対人関係や社会関係の中で、守るべき道理として意識されたもの。道義。

ここまでは、よしとしましょう。狙い通りです。しかしですね、次の言葉に、私は愕然としました。

(3)他人との交際上やむを得ずしなければならないこと。

おおおお!これです。これなんですよ、義理チョコは!「やむを得ず」、換言すれば、「いやいや」ということでじゃありませんか。

 人生は、茨の道です。こんなことで、一喜一憂してる自分が、とても小さく見えます。そうです、わたしは、そんなつまらないことに惑わされることなく、ちゃんとチョコレートを極めて行こうと思います。ご期待ください!

2007年2月14日水曜日

バレンタイン特集7 [続] 彼女が彼氏にチョコレートを贈る本当の理由(わけ)

 「チョコレートの歴史(河出書房新社)/1999年」の中でおもしろい記事を見つけました。

 『バロック時代のスペインでは、というより実のところヨーロッパ中で、強い風味を持つチョコレートが、毒を仕込むのにはうってつけの食品と見なされるようになった。・・・(中略)・・・スペインのある「貴婦人」が、わけもなく自分を捨てた恋人に復讐したのである。彼女は自宅に男を呼びつけ、短剣とコップ一杯の毒入りチョコレートのいずれかを選ぶようにと迫った。男はチョコレートを選び・・・(中略)・・・それを一滴残らず飲み干した。一時間とたたないうちに、不運な恋人は苦しみながら息絶えたが、貴婦人は「残酷にも、その場にとどまって男が死んだのを見届けた。」』 

 バロック時代(17世紀ごろ)のチョコレートは、今のような固形ではなく、飲料として供されていました。いやはや、恐ろしいことです。でも、迫られたからといって、毒入りだと分かっていたのに飲む方が悪い・・・そう思いますがねぇ。

 しかし、こっそり仕込まれてしまっていたのでは、これはもうあきらめるしかありません。
 「このチョコレート、わたしの手作りなの・・・(にゃーん)」なんて、猫なで声で、プレゼントされたあなた。食べる前に、彼女の目をしっかりとのぞき込んで下さい。目が座っていていたら要注意。何か悪いことしてませんか?しっかり胸に手を当てて、覚悟を決めてから口に運びましょう。日頃の行いが大切ですよ!

2007年2月13日火曜日

バレンタイン特集6 彼女が彼氏にチョコレートを贈る本当の理由(わけ)

 「なぜ、女性が男性にチョコレートを贈るのか」。バレンタイン特集5でご紹介しましたが、メリーチョコレートが、バレンタイン・イベントを東京・新宿のデパートで始めたことがきっかけといわれています。このイベントが開催された1958年ごろの日本は、戦後の古い女性観からの脱皮が叫ばれ始めたころ。アメリカのウーマン・リブ運動の影響もあり、女性誌が多数創刊されるなど、女性がとにかく元気な時代でした。「女性はもっと自分を主張すべし!」。その流れに乗じて、日本チョコレート・ココア協会が、2月14日を「チョコレートの日」と制定、流通業界あげての大チョコレート・キャンペーンを展開したことで、一気に普及したと言われています。ああ、奥ゆかしきは、大和撫子。おじさんたちのあこがれ、大和撫子は、バレンタインデーの普及とともに、歴史の彼方に消えてしまったのです。

 さて、そんな日本の歴史はともかくとして、もうすこし歴史をさかのぼってみましょう。チョコレートは、もともと古代メソ・アメリカの時代にさかのぼります。メソ・アメリカとは、メキシコ及び中央アメリカ北西部に当たる地域で、ちょうど北米と南米の大陸をつなぐ地峡のあたりです。この地域は、古代より様々な高度文明(マヤ、アステカなど)が、繁栄していました。紀元前数千年より、チョコレートの原料であるカカオが、この地域で栽培されていました。当時のカカオは、非常に貴重なもので、高貴な人たちしか口にすることができなかったと言われていします。カカオは、滋養強壮に富み、カカオを食べれば、他に食事はいらないとも言われていました。また、精力剤として、そして、性的興奮をもたらす媚薬として、「女性と夜を過ごすときの飲み物」とも言われていたのです。
 16世紀に入り、スペインがこの地域を征服し、カカオは、ヨーロッパへと伝わったのですが、同時に「恋の媚薬」としての物語も伝わったようです。まあ、こんな物語があった方が、それを手にするものにとってはありがたみが増すというもので、ヨーロッパ上流階級に広まってゆきました。今の科学では、媚薬と言うほどの薬効は裏付けられてはいませんが、カカオにふくまれる数々の成分が、滋養に富み、興奮作用があることは、明らかであり、まんざら嘘とも言い難いものがあります。「病は気から」じゃあありませんが、「信じるものは救われる」わけで、こんな迷信とともに、貴重で、ありがたきものとして、高値で取引されたようです。恋とチョコレートの関係は、こんな歴史にも関係があるのかもしれません。

 とするとですよ・・・彼女が彼氏にチョコレートを贈ると言うことは、「私を抱いて!」ということなのではないでしょうか。そうです、そうに違いありません。ウーマンリブ、万歳です。いやはや、ご期待の通りの結論に至りました。チョコレートをもらったあなたは、本当に幸せなかたですね!

 ちょっと待ってください。それだけじゃありません。実は、もっと深い意味があるんです。アステカの歴史書を紐解くと、カカオには、もうひとつの顔があります。それは、「血と心臓」です。当時カカオは、いまのような固形のチョコレートではなく、飲み物でした。そこに、アチョーテと言われる赤い色素を混ぜることもあったようです。これは、まさに血の象徴であり、生け贄の血を表していました。また、カカオは、死の国の主「ミクトランテクトリ」の象徴でもあったわけです。つまりですね、「私を抱いて!」の後には、「死を覚悟してね!=死ぬまで放さないわよ!」が待っているわけですねぇ。
 チョコレートをもらう彼氏!覚悟はよろしいですか?手作りのチョコレートなどもらおうものなら、それはもう呪怨の世界です。ほんとうに、おめでとうござます。

 ところで、義理チョコしかもらえないあなた!そう、私も含めたおじさん達!言う間でもありませんが、そんなみなさんには、縁もゆかりもない話しです。どうぞ気を楽にしてくださいね。みなさんは、ただただ、にやにやしながら、オジサン笑いでチョコレートを受け取ればいいんです。義理チョコは、何の後腐れもない、心から喜べるチョコレートなんですよ。本命をもらう彼らを哀れみつつ、メタボリックをまっしぐら。本当に幸せなことですよね。

2007年2月12日月曜日

バレンタイン特集5 バレンタインに行きたいディナー・スポット

 そのお店は、ズバリ!「フォンダ・デ・ラ・マドゥルガーダ(神宮前)」です。 
http://www.fonda-m.com/index.html 

 正当派メキシコ料理のお店。メキシコ料理と言えば、ジャンクフードの代名詞のようにお考えの諸兄もいらっしゃるかもしれませんね。タコスやトルティーヤチップスなど、ビールのおつまみには最適です。しかし、これだけがメキシコ料理ではありません。まあ、これは、日本料理で言うところの「たこ焼き」あるいは、「エイひれ」程度ですね。

 このお店は、メキシコ料理の「なだ万本店(紀尾井町)」「躍金楼(銀座)」「藤右衛門(京都)」クラス(?)でしょうか。とにかく、こんなチャンとしたメキシコ料理が、あるんだとちょっと感動します。しかも、マリアッチ(3人組の楽団)が、ギター片手にテーブルを回って演奏してくれます。ちょっと、チップなど差し上げて、「彼女にロマンチックな曲を・・・」なんて、言ってみてください。もう、彼女の目には、「尊敬のまなざし」・・・かっこいいです。

 さて、何をいただくかですが、まずは、マルガリータを注文してください。もしここで、コロナなんて頼んだら、あなたは、ガキ(?)・・・失礼、素人のそしりを免れません。
 マルガリータもいろいろあります。お好みのものをどうぞ!そして、「サルー(乾杯)!」とグラスを差し出し、彼女と乾杯です。なお、大きなグラスで出てきますので、一気に飲み干してはいけません。お酒に弱い方は、特にご注意ください。なにせテキーラ・ベースですから、結構きますよ。また、フローズン・マルガリータには、くれぐれもご注意ください。あまりの冷たさに、三叉神経に激痛が走ります(これを医学用語で「アイスクリーム頭痛」といいます。ホント)。そんな顔を彼女に見せるなんて、カッコ悪~。

 さて、最初に頂くのは、「ソペス」、とうもろこしのパイケースにメキシカンビーンズ、サラダ、チーズをのせたメキシコ風カナッペです。このとき同時にナチョスを頼みましょう。トウモロコシのチップスにメキシカン・ビーンズ、アボガド、チーズをのせて軽く焼きあげたものです。メインがでてくるまで、ちびちび楽しめますよ。「いかがですか?」とウェーターが訪ねてきたら、すかさずひとこと「オラ アミゴス(おいしい)!」と言いましょう。

 さて、いよいよメインですが、本日はこれしかありません。「ポジョン・コン・モーレ・シルエラ」です。「モーレ」、つまり「モーレ・ポプラーノ」というソースがかかった、グリルドチキン。このモーレ・ポプラーノのこそが、本日の主役であるチョコレートソースです。チョコレート言っても決して甘くはありません。数十種類のスパイスとあのチョコレート独特の柔らかな苦みが絶妙です。まあ、初めて食べると驚きますよ。おいしいかまずいか、正直申し上げて・・・。まあ、お試しあれ!

 最後の仕上げには、「カエ・メヒカーナ」と行きましょう。テキーラ、カルーア入りのちょっとガツンとくるコーヒー。こんな、バレンタイン・ディナー・・・大人だと思いませんか?

バレンタイン特集4 聖バレンタイン・デーと恵方巻き

 3世紀頃のローマでは、兵士は、長期の遠征で何年も帰宅できませんでした。そのことで、兵士の士気が下がらないようにと、兵士の結婚は禁止されていたのです。当時、キリスト教の司祭であった「聖バレンタイン」は、そんな兵士達を哀れみ、こっそりと結婚させていました。当時のローマでは、まだキリスト教は、異教。迫害の対象だったのです。この「聖バレンタイン」の行為は、時のローマ皇帝クラウディウス2世の知るところとなり、西暦269年2月14日、彼は、処刑されてしまいました。
 その当時のローマでは、2月15日に、豊穣と子孫繁栄を祈る春の祭典「ルペルカリア祭」というものがありました。この祭りの前日である2月14日に、女性の名前を書いたくじを男性が引いて、当たっ女性を祭りの間、パートナーにするという風習がありました。
 「聖バレンタイン」処刑の後、ローマ帝国では、キリスト教は、国教となり、広く普及することになりました。その結果、この「ルペルカリア祭」は、異教徒の祭りとして禁止されてしまったのです。ただ、くじ引きの習慣だけは残り、女性の名前に代えて聖人達の名前を書いたくじを引き、引いた聖人の生き方を一年間見習い、まねをする習わしが定着したそうです。そして、おなじ日に殉教した聖バレンタインが、祭りを守護する聖人になったと言われています。
 この季節、ヨーロッパでは、冬が終わりを告げる季節。木々が芽吹き、動物たちの繁殖が始まる季節でもある。そこに、こんな物語が重なり、聖バレンタイン・デーという習慣が、生まれたと言われています。

 さて、日本のバレンタイン・デーは、いつから始まったかというと、諸説あるようですが、神戸の洋菓子店「モロゾフ」が、1936年(昭和11年)に「バレンタインデーにチョコレート」という広告を出したのが最初と言われています。ただ、これはどうも、あまり定着しなかったらしい。その後、1958年(昭和33年)2月に東京・渋谷のメリーチョコレートが、新宿・伊勢丹の売場でバレンタイン・セールとしてチョコレートを発売、翌1959年に、「女性から男性へ」というキャッチフレーズでハート型チョコを発売しました。それが、今日の習慣になったと言われています。

 つまりですねぇ、由緒正しき歴史的な出来事を利用した商業的宣伝に、みんなの載せられてしまったということなんですね。じつは、これ、あの「恵方巻き」にも同じような物語があるんです。
 もともと「恵方巻き」は、江戸時代末期に大阪に始まった習慣といわれています。その当時は、旧暦が使われていたのですが、旧暦では立春前日である節分は、大晦日に当たります。旧年の厄を落とし、来るべき翌年の繁栄を願う行事が、各所で行われていました。そのとき、商人の町、大阪・船場では、商売繁盛を祈願する行事として海苔巻きを食べたと言われている。
 その後、この行事は廃れてしまったようですが、1977年、大阪の海苔問屋協同組合が、海苔の販売促進イベントを道頓堀で開催。これが、きっかけとなって、復活しました。その後、1989年にセブン・イレブンが、恵方巻きを販売し大ヒット。2001年にローソン、2003年にファミリーマートが、販売。一躍全国に普及したようです。

 バレンタイン・デーにしろ、恵方巻きにしろ、由緒正しき歴史的行事と思いきや、なぁーんだ、もともとは、地方の販促キャンペーンだったんじゃない。いやはや、日本人は載せられやすいんですねぇ。でも、世のため人のため、みんな幸せになれるんですから、1700年前の聖バレンタインさんも草葉の陰で、さぞや微笑んでいらっしゃることでしょう。

2007年2月10日土曜日

バレンタイン特集3 カイガラムシとチョコレートの意外な関係

 カイガラムシといえば、園芸家の大敵。親のカタキ~と、こそぎ落としたり、殺虫剤まいたり、ご苦労されている人も多いのではないでしょうか?このカイガラムシですが、意外や意外、チョコレートとは、とても密接な関係があるんです。

 みなさん、もしお手元にチョコレートの包装紙や箱をお持ちなら、裏の成分表をご覧ください。きっと「光沢剤」という記載があります。もし、その記述がないとすれば、けっこう高級な生チョコか、冬季限定メルティッド・チョコレートではありませんか? 
 名前の通り、チョコレートの表面をコーティングし、光沢をだすものなんですね。例えば、明治の「チョコレート効果」なんてみると、もうプスチック状態のテカテカです。
 さて、光沢剤とは何か?疑問に思い調べてみました。すると、「シェラック」という物質であることがわかりました。では、「シェラック」とは何かとさらに調べてみると、なんとこれ、「ラックカイガラムシ」が、原料だということがわかりました。この「ラックカイガラムシ」を煮炊きして、いろいろとお薬入れて、精製した樹脂なんですねぇ。いやいや、一気にカイガラムシさんが、お友達に思えてきました。

 考えてみると、カイガラムシさんに水や殺虫剤をかけてもはじいてしまいます。それがこの樹脂のおかげだったんですね。カイガラムシさんが水をはじくように、チョコレートにも撥水性を持たせ、湿っけたり、べとつかないようにしているというわけです。
 このカイガラムシさんの樹脂「シェラック」は、チョコレート以外にも、キャンディーや果実の光沢剤としても使われています。

 これを知ったみなさんは、きっとカイガラムシさんをもっと身近に感じて頂けるのでは。カイガラムシを思いながら、チョコレートを口にする・・・。身近な自然と一体になる喜び。すてきなことですね。

2007年2月9日金曜日

バレンタイン特集2 ホワイトチョコレートは、「おしり」の恋人

 先日、ホワイト・チョコレートを食べていて、改めて思ったのですが、「なぜ、ホワイトチョコレートは、白いのだろう・・・」。みなさん不思議に思いませんか?だって、ミルクを入れたからって、あの茶褐色は、消えません。しかも、そういうものは、ちゃんとミルクチョコレートと書いてあるではないですか。どうもがてんがゆきません。そこで、調べてみました。すると、なんと言うことでしょうか!また、あの座薬とチョコレートの関係に行き当たってしまいました。

 前回もご紹介致しましたが、チョコレートの原料であるカカオ豆には、55%の油脂分が含まれています。このカカオ豆を焙煎し、それを圧搾することで、ココアバターとココアパウダーに分離します。分離したココアパウダー(単にココアともいう)は、ご存じの褐色のチョコレート色をしています。しかし、もう一方のココアバターは、乳白色の固形物質となります。ホワイトチョコレート、そうで、あの「白い恋人」は、ココアパウダーを使わずに、このココアバターのみを使用して作られているんです。だから、白いと言うわけなんですね。

 つまりですね....これ、座薬の材料です。体内に取り入れる口が、上か下かの違いはありますが、座薬は、ホワイトチョコレートそのものだったということです。だからといって、「白い恋人」に解熱作用や消炎作用があるわけではありません。座薬がないからといって、代わりにブスッは、しないように。

2007年2月8日木曜日

バレンタイン特集1 座薬とチョコレートの関係

 期待に胸をふくらませる(?)バレンタイン・デー。本命か、はたまた、義理か。悲喜こもごもの人間模様が、繰り広げられる季節となりました。

 さて、彼女が、あなたに「バレンタインのプレゼントよ!」と何かくれました。チョコレートだと思って、箱を開けたら、座薬(たとえば、プリザS)が入っていたら、あなたは、どのように対応しますか?
(1)バカヤロ~と、床に叩きつける。
(2)ニヤッとして、その場で、ブスッ!
(3)ありがとう、本当に君はすてきだよ!と彼女を抱きしめる。

正解は、(3)です。一応、(2)もおまけで正解にしておきます。

 それはなぜでしょうか?実は、座薬は、チョコレートとは、分身みたいな関係にあるんですね。ですから、ちょっと使用目的は違いますが、あなたはが、チョコレートをもらったことにかわりはありません。

 実は、座薬の基材になっているのが、ココアバター。ココアバターとは、チョコレートの原料であるカカオ豆から抽出された油脂のことです。カカオ豆は、粉砕、圧搾され、ココアパウダーとココアバターに分離されます。これが、チョコレートの原料となります。
 ココアバターは、ステアリン酸という脂肪酸が多量に含まれており、植物油脂の中で、唯一常温では、固形ですが、体温より少し低い温度で溶け出し、液体化します。あの、お口の中でトロッととろける舌触り!たまりませんよね。肛門に入れて、トロッと溶けて、スーッと広がる心地よさも、やっぱりたまりません。これ、気持ち良さの元は一緒だったということです。
 また、酸化変質しにくいと いう特性があります。加えて、消炎効果、粘膜保護機能があり、座薬の基材としては、大変優れた特性を 持っているんですね。

 バレンタインデーに座薬をもらったあなた!決して取り乱してはいけませんよ。それは、彼女の優しい思いやりに違いありません(ちょっと深読みかもしれませんが)。ありがとう・・・ブスッ!君も一緒に・・・ブスッ!今日もすてきな夜になりそうですね。