2007年2月21日水曜日

本物のチョコレート(2) うんちく編/日本の常識は世界の非常識

 「日本の常識は、世界の非常識」と言っていたのは、政治評論家の竹村健一さんだったでしょうか?まさに、チョコレートの世界にもこの図式が当てはまります。

 前回ご紹介したチョコレートの定義について、もうすこし詳しく見てゆきましょう。日本で「チョコレート」と表示していいものは、
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・日本のチョコレート:
 総カカオ35%以上 カカオバター18%以上 非脂肪固形分17%以上
 代用油脂 可
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 たとえば、カカオ分70%のチョコレートの場合、 ココアバター18%+ココア分(ココアバター以外のカカオ成分)52%=70% 当然、油脂分が不足しますから、これを代用油脂「ハードバター」で補います。これでも、チョコレートと称してもいいとなります。

 ところで、国際基準では、チョコレートといっても、3つのランクがあります。
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・クーベルチュール・チョコレート:
 総カカオ35%以上 カカオバター31%以上 非脂肪固形分2.5%以上 
 代用油脂 不可
・純チョコレート: 
 総カカオ35%以上 カカオバター18%以上 非脂肪固形分17%以上 
 代用油脂 不可
・チョコレート: 
 総カカオ35%以上 カカオバター18%以上 非脂肪固形分17%以上 
 代用油脂 可
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 クーベルチュールとは、フランス語で「覆い」という意味です。お菓子の原料として使用されているもので、上記のように最高の品質を求められます。チョコレート職人「ショコラティエ」たちは、それぞれ特徴のあるクーベルチュールを組み合わせて、自分たちの味を作り出しています。

 日本では、この国際基準の最低のランクを満たしていれば、すべて一律チョコレートと称していいことになります。ですから、クーベルチュールなどという名称は、日本では自由につけられるわけですから、結果として、国際的な品質には至らないものもあるようです。

 本物のチョコレートとは、「カカオバーターだけを使っている=口溶けもなめらかで香りが高い」。工業先進国、コスト重視の日本では、この定義に当てはまる本物のチョコレートは、意外と少ないと考えなくてはなりません。事実、農林水産省消費技術センターのレポートでも、この事実を裏付ける調査報告が、掲載されています。

 ただし、お菓子をコーティングするための材料としては、このような本物のチョコレートは、低温で溶け出してしまうため不向きです。このような目的であれば、むしろカカオバターが少なく代用油脂が多い準チョコレートが向いています。準チョコレートは、使う目的に応じて、伸びの良さや溶ける温度などを異なる代用油脂の組み合わせで調整することができます。味や香りといった品質よりも物理的な特性を重視する場合は、こちらが使われます。

 ヨーロッパ土産のチョコレートが、ありがたく思うのは、「なんだか高級感があるから」ということだけではなく、ちゃんと「おいしさが保証されている」からなんですね。
 

2007年2月20日火曜日

本物のチョコレート(1) うんちく編/嘘チョコの話し

 花子と親爺の会話も、少々鼻についてきたので、このあたりでやめときましょう。今日は、本物のチョコと嘘チョコについて、話しをしましょう。

 チョコレートに本物も嘘もあるかとお考えの諸兄も多いのではないでしょうか?じつは、このあたりが結構微妙なんですよ。

 たとえば、「カカオXX%」なんて、印刷されたパッケージのチョコレートを見ることはありませんか?最近、お菓子メーカー各社は、高級感を競って、こんな表現をよく使うようです。しかし、この「カカオXX%」とは、いったい何を意味しているのでしょうか?また、「XX%」が、高ければ高いほど、おいしくて高級なチョコレートなのでしょうか?我々凡人は、数字が高ければ高級でおいしいなんて、つい考えがちですが、実はちょっとちがうんですね。

 以前のプログでも紹介致しましたが、チョコレートは、まず、その原料であるカカオ豆を発酵させ、焙煎し、どろどろのペースト状にすりつぶします。これをカカオマスといいます。このカカオマスをさらに圧搾して、油脂分を取り出しますと、これがカカオバターになります。残った、固形分が、ココアパウダー(単にココアとも言う)になる訳です。 実は、このココアバーター、チョコレートだけではなく薬品や化粧品にも使われることから、ココアよりも希少価値が高く、高価なものなんですね。 そもそも、チョコレートとは、ココアパウダーとココアバーターを混ぜ合わせて作られています。そして、このココアバーターの比率が高いほど、上質でおいしいと言われています。しかし、安いチョコレートでは、コストがかかりすぎてココアバターを沢山使うわけにはゆきません。かといって、油脂分を減らしてしまいますと、うまく固まってくれませんし、口当たりが“ぼそぼそ”になり、食感が悪くなります。つまり、常温では固形だけれども、とろりと口の中に広がるというチョコレートならではの特性が失われてしまうわけです。これでは、商品になりません。そこで、ココアバターの代わりにココアバターと類似の化学構造を持つ植物性の代用油脂「ハードバター」が使用されています。つまりですね、チョコレートの成分表に「植物性油脂」と書いてある場合は、この代用油脂「ハードバター」が、含まれていることを意味しています。

 さて、「カカオXX%」に戻ってみようと思うのですが、ではいったいこの数字は何かと言うことですが、カカオ豆由来のココアパウダーと若干のココアバターでXX%あればいいわけですね。あとは、「ハードバター」でもいいと言うことになります。

 全国チョコレート業公正取引協議会の規定を見ると「チョコレート」に関する植物油脂の含有比率の規定はありません。ココアバターの含有比率が、18%以上あれば、チョコレートという表示を使っていいわけです。ちなみに、ココアバターが、3%以上~18%未満は、準チョコレートとして、区別しています。また、ココアバターや植物性油脂を含有しいることの表示義務はあっても、含有比率を表示する義務もありません。従って、いったいどれだけのココアバーターが含まれているのか、表示だけではわからないと言うことになります。
 チョコレートの国際規格(コーデックス規格)を決める国際会議で、ベルギー、オランダ、スイスなど、伝統的にチョコレートを大切にする国々では、植物油脂を入れたものはチョコレートと認められないと主張、一方日本などは、一定量の植物油脂も認めるべきとして対立、結局2003年に、植物油脂が、5%以下は、チョコレートと呼んでもいいことになりました。
 しかし、日本では、この規定が適用されておらず、植物油脂が5%以上であっても、チョコレートと表示することが認められています。全国チョコレート業公正取引協議会は、この規定を見直す意志がないとのことなので、日本の国際基準の無視は、当分は続きそうです。

 実際、ベルギーやスイスのチョコレートを食べると、そんなに高価なものでなくても、結構おいしく感じることがあります。これは、ココアバターの含有比率が高いからなんですね。また、おいしいだけじゃありません。植物性の代用油脂は、最近話題になっている「トランス脂肪酸」を含むものもあります。「トランス脂肪酸」とは、心疾患の原因となる悪玉コレステロールを増やす元凶と言われているもので、欧米では、その使用を禁止する動きが盛んです。しかし、日本は、相変わらず、国際基準は、無視を決め込んでいるようですね。

 では、本物のチョコレートをどのように見分けるか。その実践編は、次回に。

2007年2月19日月曜日

バーで使えるチョコレートの”うんちく”実践編(2)[お酒とチョコレートの相性]

 前回は、健康が話題。今回は、お酒との相性について、うんちくを語ります。

親爺:「チョコレートと相性のいいお酒は、なんだと思う。」
花子:「そうねぇ、赤ワインなんか、合うんじゃないかしら。」
親爺:「確かに、しっかりとしたフルボディの赤ワインもいいかもしれないね。でも、あのワインの繊細な味わいに、ちょっとチョコレートは、主張しすぎるかもしれないね。それよりも、チョコレートといえば、ウイスキー。それも、シングルモルトがぴったりだと思うよ。」
花子:「でも、なんだかきつそうで、抵抗あるわ」。
親爺:「だったら、これをすこし口に含んでごらん。」といって、マッカランの12年を1割程度の水で割って差し出す。
花子:「なんだか、とってもいい香り・・・」
親爺:「マジソン郡の橋という映画で、メリル・ストリープ扮する農場主の妻フランチェスカとクリント・イーストウッド扮するカメラマン、ロバート・キンケイドが、旅の途中、二人だけで飲んだ、あのお酒だよ。」
花子:うっとり・・・
親爺:「チョコレートの濃厚で複雑な味わいは、シングルモルトぐらい、しっかりと芳醇で複雑な味わいがなければ、引き立てあえないように思うんだ。クリント・イーストウッドとメリル・ストリープ。ふたりとも、個性豊かで、濃厚な演技派だからこそ、引き立て合えたと同じようにね。」
親爺:グラスを一口飲む
親爺:「シングルモルトの醍醐味は、その味の複雑さにあるんだ。地域やブランド、あるいは、ボトルごとに様々な表情を持っている。シングル・カスクといわれる特定の樽のものをそのまま瓶詰めしたものなどは、特に個性的なんだよ。普通シングルモルトと言われるものは、おなじ醸造所のモルトだけを使っているという意味。おなじ年代の樽をブレンドし味を調え、加水してアルコール度数を整えて出荷されるんだ。たしかに、醸造所ごと、年代ごとの個性は楽しめるけど、工業製品として、品質や味を均一化されてしまう。それに対して、シングル・カスクは、そのような加工を一切行わず、まさに樽出しのストレート。おなじ醸造所で、年代がおなじでも、樽の寝かされていた場所が海よりか山よりか、樽の位置が上か下か、などでも味や香りが、微妙に違ってくるんだ。それほど、繊細なものなんだ。」
花子:「すごいのね?」
親爺:「それだけじゃないんだ。シングルモルトは、バーボン樽やシェリー樽など、他のお酒を熟成させた樽木を再加工し樽を作り、これにつめて熟成させるんだ。原則として、新樽は使わない。これは、味を複雑にするためなんだね。さらに、フイニッシュといって、仕上げにラム、オロロッソ、フィノなど、比較的香りがはっきりしたお酒を醸造した樽にモルト・ウイスキーを詰め替え、再度寝かせるものまであるんだ。これではもう何がシングルかわからないけど、これでもかと言うくらい、複雑な味わいを作り出そうと苦心しているんだよ。」
花子:「そんなにたいへんなの?」
親爺:「そんな手間暇かけて、濃厚で、芳醇で、複雑な味わいを作る。だから、味のしっかりした食べ物でなければ、なかなか、お互いを引き立て合うことができないんだよ。」
花子:「チョコレートは、それにぴったりという訳ね。」
親爺:「そう、その通り。そして、チョコレートの甘みも、シングルモルトの味わいをさらに引き立ててくれるんだ。もうひとつ、柑橘系もあうんだよ。オレンジやレモンのピールが入ったビターチョコレートなんか、ぴったしだよ。ほら、どう?」といって、オレンジ・ピールが入ったビターチョコレートを進める。
花子:「ほんと!おいしいわ!」

こうして、夜は更けてゆくのでした・・・

2007年2月18日日曜日

バーで使えるチョコレートの”うんちく”実践編(1)[チョコレートと健康]

 あなたは、運よく、若い女性をバーに誘うことができました。しかし、そこで、仕事の話や家族の話をしてるようじゃ、興醒めですね。そんな、お父さんのために、チョコレートのうんちくなどいかがでしょうか?

 今回は、「若い女性を相手に、バーで使える、チョコレートの”うんちく”実践編」の第1回目として、おじさん臭くならない、健康話をご紹介します。

親爺:「花子ちゃん(仮名)、君は、チョコレートすき?」
花子:「ええ、とっても。つい食べ過ぎちゃうわ。」
親爺:「チョコレートに限らず、食べ過ぎは、禁物だけど、チョコレートは、とても健康にいいんだよ。」
花子:「そうなの?」
親爺:「ほら、今日食事の時に飲んだ2002年のシャトー・ムートン・ロートシルト。覚えてる?」
花子:「ええ、とっても濃厚な赤ワインだったわ。あの牛頬肉のワイン煮込みには、ほんとうにぴったりだっわ。」
親爺:「そうなんだよ。この年のカベルネ・ペースのメドックとしては、最も濃厚な色合いをしているといわれてるんだ。あの幅のある風味、隠そうとしても隠しきれないクレーム・ド・カシスに、燻煙やココア、なめし草、甘草が混ざり合ったものを思わせる味わい。タンニンが、とてもしっかりしていて、濃厚で、力強く、豊かなあじわいだったよね(ロバート・パーカー/Robert M. Parker, Jr /世界で最も影響力のあるワイン評論家のことばより引用)。ところで、あの濃厚でルビーのような赤。なんだとおもう?」
花子:「わかんなぁ~い!」
親爺:「あれはね、ワインにふくまれているポリフェノールという色素の色なんだよ。」
花子:「ポリフェノール?なんかきいたことあるけど、よくわかんなぁ~い・・・」
親爺:「まあ、一言で言えば、若さを保つ魔法の物質、血液さらさらにして、お肌もすべすべにしてくれるんだよ。」
花子:「へ~、すごいのね。」
親爺:「そうなんだ。実はね、そのホリフェノールが、ワインの3倍もふくまれているのが、チョコレートなんだよ。」
花子:「そうなんだ、知らなかった!チョコレートってすごいのね。」
親爺:「そうなんだよ。それに、花子ちゃん、花粉症と言っていただろ。チョコレートのポリフェノールは、花粉症にも効果があるんだよ。」
花子:尊敬のまなざしで「ふぅ~ん・・・」
親爺:「それにね、もうひとつ、チョコレートには、とても多くの食物繊維が含まれているんだ。板チョコ一枚(カカオ70%、およそ100g)に約24gふくまれているんだ。同じ量のゴボウだって、たった5.7gしか入っていないんだからね。」
花子:「じゃあ、おなかにもいいんだね?」
親爺:「そう、おなかをきれいにしてくれる。だから、お肌を内側からきれいにし、ダイエットにも効果があるんだよ。まあ、花子ちゃんだったら、その必要もないだろうけど・・・」
花子:「そんなことないわ。でも、○○さんって、よく知っているねぇ。」
親爺:「ごめんごめん、ちょっと、僕一人で話しすぎたようだね。こんどは、花子ちゃんのこと、もうすこし聞かせてくれる?」

次回に続く・・・

2007年2月17日土曜日

メタボリック世代に捧げる、チョコレートの効能(2)

 「テオブロマ・カカオ(Teobroma Cacao)」。1753年、スウェーデンの植物学者、カルル・フォン・リンネによって命名されたカカオの学名です。「Teo=神の」「broma=食べ物」というギリシャ語に由来するこの名前は、当時、万能の薬効をもつ薬として、そして、上流階級の人々の高級な嗜好品として、ヨーロッパに広まっていたチョコレートから、思いついた名前かもしれません。チョコーレート発祥の地である古代のメキシコ近辺(古代メソアメリカ)でも、貴重な食べ物として、貴族や司祭しか口にすることができない食べ物だったようです。そして、彼らもまた、その優れた薬効、滋養をもたらす食べ物として珍重していました。決して、「おいしいあまりに食べ過ぎて、高脂血症->どろどろ血液->心筋梗塞->死んで神の元に召される」なんて意味はなかったと思います。それどころか、その全く反対の効き目があります。

 さて、前回ばっさりと切り捨てたチョコレートの俗説に続き、今回は、チョコレートのすばらしい効能について、ご紹介しましょう。特にメタボリック世代のおじさん必見です。

 チョコレートには、実に様々な薬効成分がふくまれています。カフェイン、テオブロミン、セロトニン、フェニルエチルアミン・・・などなど、わかっているだけでも数十種類あると言われ、カカオ豆の実に1-2%を占めています。また、それ以外にも、カルシウム、マグネシウム、亜鉛やその他ミネラル、ビタミンEなどたくさんの栄養素が豊富に含まれています。そのような成分の中で、最近特に注目されているのが、カカオ・ポリフェノールといわれる物質です。

 ポリフェノールとは、植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。ブドウのあの赤い色や唐辛子の赤い色などの色素として、植物の葉や花、樹皮などに含まれています。ココアやチョコレートの褐色は、カカオ・ポリフェノールに由来するもので、赤ワインに含まれるポリフェノールのおよそ3倍もあるのだそうです。このポリフェノール、人間の体内にはいると、「抗酸化物」として働くことが、最近の研究で明らかになってきました。 

 「抗酸化物」とは、体内に作られる「活性酸素」という悪者を退治してくれるものです。「活性酸素」とは、一言で言えば、「老化促進物質」、つまり、しわを増やし、血管をもろくし、ガンを誘発するももので、おじさんにとっては、親の敵以上の極悪人なんです。

 活性酸素は、体内に摂取、蓄積された悪玉のLDLコレステロールを酸化させ、高血圧、動脈硬化の原因となり、脳血管障害、心臓病などを誘発します。この活性酸素の働きを抑えてくれるのが、「抗酸化物=カカオ・ポリフェノール」なんですね。
 「活性酸素」は、細胞のガンにする物質でもあります。カカオ・ポリフェノールは、この働きを抑え、ガン細胞の増加を防ぎ、免疫力を強化する力を持っています。また、ストレスによって増加するホルモンの分泌を抑えたり、精神的なストレスに対する抵抗力を強める働きもあります。 さらに、「活性酸素」は、アレルギー症状を引き起こします。この働きを抑えるとともに、抗体や炎症を起こす物質を作らないようにする働きもあります。つまり、チョコレートは、花粉症対策にも使えるんですね。
 そして、最近特に注目されているのが、カカオ・ポリフェノールの抗菌作用です。あのノロウイルスやO-157の増殖を抑えるだけではなく、胃潰瘍の原因であるピロリ菌、虫歯菌の増殖を抑えることが確認されています。また、血糖値を下げる働きもあり、糖尿病を予防する効果も報告されています。

 どうです、メタボリック世代のみなさん。すごいと思いませんか?こんなに身体にいいものをガキのおやつにしておくなんて、もったいない!そうです。「大人のおやつ」なんですよ。でも、大人には、おとなの食べ方って言うものがあるんです。ガキにはまねのできない大人のチョコレート・・・今後そのあたりを追求してゆこうかな。

2007年2月16日金曜日

メタボリック世代に捧げる、チョコレートの効能(1)

 義理でも何でもチョコレートをもらったお父さん。食べたいが、メタボリックが気になって、どうも・・・というあなた。私が、そのご心配をすっきり、さっぱり、解消して差し上げましょう。

 ところで、「チョコレートを食べ過ぎると鼻血がでるよ。」「ニキビや吹き出物がでるから気をつけなさい。」 子供のころ、母親によく言われたものです。しかし、これは医学的には根拠のないことで、子供が大好きなチョコレートを食べ過ぎないように、このような話しが広まったと言われています。
 さて、チョコレートを食べて、もっとも心配になるのが、「太る」ことです。しかし、これも、どうも根拠がないようです。確かに、チョコレートには、ココア・バターという脂肪分が、多量に含まれています。ただ、ココアバターは、体内に吸収されにいという特性を持っています。つまり、カロリーになりにくい脂肪です。ある実験では、標準飼料を与えたラットと飼料の20%をチョコレートでおきかえ与えたラットを比較した場合、同じカロリーでは、体重の差はなく、肥満もみられなかったそうです。
 もうひとつ、チョコレートについての偏見を解いておきましょう。それは、「チョコレート虫歯原因説」です。実は、カカオには、虫歯菌をおさえる効果があります。しかも虫歯菌に感染したラットの虫歯の進行をおさえるという実験結果も報告されています。問題は、チョコレートそのものというよりも、そこにふくまれる砂糖であって、これは、チョコレートに限らず、いろいろなものにふくまれています。チョコレート=虫歯の原因という俗説は、事実ではありません。

 どうです?チョコレートに対する偏見は、払拭されましたか?まあ、チョコレートに限った話しではありませんが、何でも食べ過ぎれば、いいことはありません。食べ過ぎれば、カロリーも高くなりますから、太るのは当たり前です。また、チョコレートを食べて、歯磨きをしなければ、歯垢も溜まり、虫歯にもなります。それを「チョコレート」の責任にするのは、チョコレートに失礼です。 ただ、注意しておきたいこともあります。それは、チョコレートそのものというより、チョコレートにふくまれる砂糖やココアバター以外の油脂や添加物です。こちらについては、いずれきちんと片を付けようと思います。

 さて、チョコレートが、害がないことは、わかってきたのですが、それでは、もっと積極的な効能はないのかというご質問もあるのではないでしょうか?実はそれが大ありなんですよ。

 「動脈硬化を抑制する」「がんの発生を抑止する」「糖尿病を抑止する」「老化遅らせる」「胃かいようや胃がんとの関連が深いピロリ菌や病原性大腸菌O-157の増殖を抑える」「アレルギーの抑制」「リウマチの抑制」・・・・

 どうですか?メタボリック世代のみなさん。これで、チョコレートを食べないなんて、どうかしてます。この詳細は、次回、説明させていだきます。

2007年2月15日木曜日

バレンタイン特集8 チョコレート、もらっちゃいました・・・でも・・・

 チョコレートをもらいましたか?もちろん私は、もらいました。チョコレートの皮肉や悪口ばかり書いているので、どうせ、そんなものに縁のないやつなんだろうと、お思いの方も多かったんじゃないでしょうかねぇ。いえいえ、決してそんなことはありません。我が最愛のパートナーからちゃんともらいました。どうです、立派なもんでしょ。

 ただ、正直なところ、これが、素直に喜べないんですよ。もちろん、人間関係を大切にする私です。満面の笑みとともに「本当にありがとう!」と伝えました・・・が・・・ですね・・・彼女が、プレゼントした相手は私だけじゃないんです。彼女は、小さな会社を経営しているのですが、その部下に・・・また、マラソンの個人レッスンを受けているのですが、そのコーチに・・・ということは、私は、1/3ということになります。おなじものを贈ったかどうかは、怖くて確認できません。ただ、彼女の性格を考えると、まあ、きっと、おなじものだと思います。
 しかもですよ・・・「ありがとう、おいしいよ!」と感謝の言葉を述べながら、そのチョコレートを頂いておりますと、「そらおいしいわよ!でも、私も食べてないの!自分一人で食べちゃわないでね」・・・。ということはですよ、つまり、他の人に差し上げたものを自分もおなじものを食べてみたいので買ってきた、と言うことではないですか。そうすると、私に「どうぞ」というのは、儀礼的行為にすぎず、結局は、みんなで食べましょうね、ということですか???・・・そんな疑念が、ふつふつとわき起こってきます。いいえ、それは、もう確信です。もちろん、気の弱い私ですから、そんなことを彼女に聞くことなどとてもできません。「ほんとうにおいしいよ!」と顔で笑って心で泣きながら、ガナッシュの入ったチョコレートのほろ苦さをかみしめていました。

 しかし、いいんです。もらえたんですから。義理であっても。もらえただけでありがたいじゃないですか。そうです、義理って、いい言葉ですよ。義理人情、義に厚く理(ことわり)を説く・・・日本人です。男の世界です。そう考えると、義理チョコだって、ありがたく思えてくるじゃありませんか。

 だったら、もっとちゃんと「義理」の意味を調べてみようと思い、三省堂の辞書・大辞林を引いてみました。すると、こんなことがかかれていました。

(1)物事の正しい道筋。人間のふみおこなうべき正しい道。道理。
(2)対人関係や社会関係の中で、守るべき道理として意識されたもの。道義。

ここまでは、よしとしましょう。狙い通りです。しかしですね、次の言葉に、私は愕然としました。

(3)他人との交際上やむを得ずしなければならないこと。

おおおお!これです。これなんですよ、義理チョコは!「やむを得ず」、換言すれば、「いやいや」ということでじゃありませんか。

 人生は、茨の道です。こんなことで、一喜一憂してる自分が、とても小さく見えます。そうです、わたしは、そんなつまらないことに惑わされることなく、ちゃんとチョコレートを極めて行こうと思います。ご期待ください!